【現地レポート㉑】夏の悔しさから這い上がった福岡大学附属大濠と東山が決勝進出
2025年12月28日
「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は男子準決勝を経て、決勝のカードが決まりました。
決勝は前回覇者の福岡大学附属大濠 (福岡②) と東山 (京都①) です。どちらもインターハイではベスト 8 止まりとなり、悔し涙を流したチーム同士でもあります。
福大大濠は準決勝で今年のインターハイ優勝の鳥取城北 (鳥取①) と対戦。第 1 クォーターを #14 本田蕗以選手 (2 年) らの得点で 21-13 とすると、前半は 39-29 と10点のリードを奪いました。しかし、後半に追い上げられると、そこからは接戦に。それでも、#6 吉岡陽選手の勝負所でのシュートが光り、粘る鳥取城北を振り切って2大会連続で決勝進出を決めました。
試合後、「絶対に受けに回るなということで試合に臨ませていました」語ったのは片峯聡太コーチです。鳥取城北は絶対的なポイントゲッターの #28 ハロルド アズカ選手を擁しており、爆発力を秘めるチームのため、「(自分たちの) シュートが入ったら (ディフェンスで) 仕掛けていくというのは最初から決めていて、(相手に) 落ち着いたバスケットをさせず、(オールコートのディフェンスで) 仕掛けながら、ハーフコートのバスケットに時間をかけさせるようにしたのが良かったし、選手たちがそれを遂行してくれました」と、試合を振り返りました。
準決勝、2 年生の本田選手に対して 3 年生が声を掛けていたシーンがありました。そのことを片峯コーチはこう言います。
「3 年生はコツコツ真面目に一生懸命やる選手たちで、『人生でも、バスケット人生でも、時には大胆にやらなきゃいけないこともあるんだよ』ということを伝えていました。本田が弱気になったとき、私が行くより先に 3 年生たちがスクラムを組んで『大丈夫だ』と言っていたので、自分たちで乗り越えていく力、この大会を通じて非常にたくましくなってきたなと感じています」
その 3 年生の一人である #13 榎木璃旺選手は、決勝に向けて「自分たちの鉄壁のディフェンスが崩れなければ、我慢の時間帯になっても勝ち切れると思うので、我慢して絶対勝ち切りたいと思います」と、気を引き締めました。

一方、5 大会ぶりの決勝進出を決めた東山もまた、準決勝は苦しい試合となりました。第 1 クォーターを 20-9 と最高の形で終えたものの、第 2 クォーターでは福岡第一 (福岡①) の怒涛の攻めに押されて 1 点差に詰められて前半を終えます。その後もリードしては追い上げられと、終盤まで勝負の行方はもつれましたが、最後は #5 佐藤凪選手、#10 鈴木勇功選手らで畳み掛けて勝負あり。粘る福岡第一を振り切って決勝進出を決めました。
「40分間一生懸命、選手たちが東山高校のバスケットをやってくれたことに尽きると思います」
試合後、開口一番こう発した大澤徹也コーチは、「凪がしっかりと40分間コントロールして、すべていい判断で (プレーを) 選んでいたと思います。(ディフェンスが) 寄ることによって、開いているところへのパスもしっかり見えていたので、、凪がコントロールできたゲームでした」と、ガードで得点源でもある佐藤選手の奮闘を称えました。
さらに、初戦からここまで接戦に勝利しての決勝進出に、「一日一日成長させてもらっているというか、簡単な試合が一つもなく、どこも都道府県を勝ち抜いてきてるチームだけあって、ここぞというときにも離せない。それでもよく選手たちが我慢できていると思います。試合ごとに成長できていることは選手たちも私も実感しているので、厳しいディフェンスの福岡第一戦を戦い抜けたことは、必ず明日 (の決勝) につながると思います」と、笑顔を見せました。
福岡第一戦で25得点・10アシストと大車輪の活躍を見せた佐藤選手は、決勝のポイントを「リバウンドですね。リバウンドでセカンドチャンスをつながれると僕たちのいいオフェンスにつながっていかない。自分たちはいかに点を取ることがキーになるので、ディフェンスリバウンドがポイントになると思います」と力強く発しました。
福大大濠と東山は今年、インターハイでの対戦はなかったものの、「U18日清食品トップリーグ」では11月に激突。結果は 88-72 で東山が勝利していますが、この試合では福大大濠の 3 年生が不在だったため、片峯コーチは、「3 年生を入れて勝つんだという思いもあるので、しっかりマインドセットして試合に臨みたいです」と、意気込みます。
対して大澤コーチも「最終日まで残ることを目標に、勝ち切るために何が必要かをインターハイ以降取り組んできたつもりです。福大大濠も素晴らしいチームなので、胸を借りるつもりで。日本一を決める試合で東山バスケットを40分間続けられれば、勝利も見えてくるのではないかと思います。精一杯楽しんで選手たちと勝利を目指していきたいです」と、コメントしました。

ウインターカップ決勝での対戦は初となる福大大濠と東山。高校バスケット界、2025年の総決算となるウインターカップ男子決勝は13時からティップオフとなります。