SoftBank ウインターカップ2025 第78回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート⑱】「飛躍の1年」を過ごした2年生ガード、来年は日本一に──北陸学院 小笠原和真

2025年12月27日

 最終盤の追い上げには鬼気迫るものがありました。

「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子準々決勝で第 1 シードの鳥取城北 (鳥取①) に挑んだ北陸学院 (石川) は、前半を終えて 17-39 という大きなビハインドを背負っていました。第 3 クォーターで差を詰めたものの、それでも点差は二桁。

 詰め切れそうで詰め切れない──そんな時間帯が続く中、第 4 クォーターに 2 年生 PG の #16 小笠原和真選手が爆発します。

 第 3 クォーターまでで19得点と好調だった小笠原選手は、第 4 クォーター残り 6 分32秒に 3 ポイントシュートを決めると、そこから約 3 分の間に 3 本の 3 ポイントシュートを含む12得点。

「迷いはなかったです。打てるところは思い切り打とうと思っていました」と、とにかくアグレッシブにシュートを打ち、それが吸い込まれるようにリングを通過したのです。

 彼が 3 ポイントシュートを決めるたびに会場が沸き立ち、残り 2 分47秒には今度はアシストで #77 神保旺介選手の 3 ポイントシュートをお膳立て。この得点で 59-61 と、ついに鳥取城北の背中をとらえました。

 最後は鳥取城北に振り切られ 61-65 で敗れましたが、小笠原選手は 3 ポイントシュート 8 本を含むゲームハイの32得点。その姿はニュースター誕生を予感させました。

 小笠原選手は名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15 出身。中学時代には同じ東京体育館で開催された「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2024」でキャプテンとしてチームを率い、ベスト 8 入りに貢献しました。東京体育館のメインコートも中学 2 年時の同大会で経験しており、「中学 2 年生の頃にこのメインコートで 3 ポイントシュートを 4 本決められました」と、当時の思い出を振り返ります。

 しかし、そこからはケガの影響でシュートフォームが大きく変わり、「まったくシュートが入らなくなった」そう。高校 1 年生だった昨年はメンバー入りすることもかなわず悔しい思いをしながらも、濱屋篤史コーチの助けを借りながら丸 1 年をかけてシュートフォームを改善。その成果を魅せられた自身 3 年ぶりのメインコートは、「こういう結果が出たので、自分的にはものすごくうれしい」と大きな自信になりました。

 キャプテンの #1 小野蓮太選手や神保選手など、先輩にはシュート力を武器にする選手が何人もいます。そうした先輩たちの背中を見ながら、「先輩たちは本当にひたすらシューティングしていたので、自分もそれに負けたくないと思ってシューティングをしていた」と刺激を受けたことも、メインコートでの大爆発につながったのでしょう。

 北陸学院にとってメインコートは、アルバルク東京の大倉颯太選手を擁して 3 位となった2016年大会以来 9 年ぶりのこと。現役選手にとってはもちろん初めてのことです。敗れた悔しさ、3 年生を勝たせられなかった悔しさはもちろんありますが、小笠原選手のキャリアにとって、この試合は大きな意味を持つものになっていくに違いありません。

「自分としては本当に飛躍の 1 年になったと思いますし、チームとしても夏冬ベスト 8 と、良い結果を残せた」と小笠原選手。一方で「やっぱり日本一目指していたので、すごく悔しい 1 年でした」とも話します。

 ラスト 1 年で彼がどのような進化を見せてくれるのか。期待せずにはいられない幕切れとなりました。

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