【現地レポート⑰】女子ファイナルへ――桜花一丸か、薫英一丸か
2025年12月27日
バスケットボールにおいて、身体能力や高さは大きなアドバンテージになりえます。しかしそれだけでは勝てないこともあります。むろんどのチームもそのことを理解して、それぞれの特長を生かしながらチームを作っていきますが、最後に勝敗を分けるのは作り上げたチームがひとつになれるかどうかです。敗れたチームがひとつになっていないわけではありません。しかし勝ったチームは、しかもトップレベルになればなるほど、その一体感が大きな推進力になっています。
「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は女子の準決勝を終え、明日の決勝戦に進むチームが決まりました。八雲学園 (東京①) を 77-71 で破った桜花学園 (愛知①) と、大会 3 連覇中で大会 4 連覇を狙った京都精華学園 (京都①) を 80-71 で破った大阪薫英女学院 (大阪) です。桜花学園は4年ぶりの、大阪薫英女学院は7年ぶりのファイナル進出です。
桜花学園のゲームキャプテン、濱田ななの選手はゲームをこう振り返ります。

「前半は自分たちのペースでリードできていて、後半に追いつかれるような展開になったんですけど、そのときも全員でしっかり目を合わせて、声を掛け合いながらプレーできたことが勝利につながったのかなって思います」
能力の高い選手が集まるチームという印象のある桜花学園ですが、直近の 3 大会ではメインコートにすら立てていません。今年はその悔しさを力に変えて、インターハイを優勝、ウインターカップでも決勝戦まで勝ち上がりました。濱田選手は今大会のチームの良さをこう言います。
「一戦一戦、試合を重ねるごとに全員が成長している感じもしますし、全員で楽しめて試合をできているのが一番かなって思います」
個々の力は今も全国トップクラスですが、彼女たちも発展途上の高校生です。気持ちの不安定さがゲームに出ることもあります。しかし濱田選手は今大会のチームを「アグレッシブさだったり、コートの中外でも声がすごく出ていると思うので、試合ごとに (チームが)良くなっている」と言います。

「桜花一丸」を掲げる今年の桜花学園の集大成が明日、見られるというわけです。
近畿ブロック大会では延長戦の末に 69-72 で京都精華学園に敗れた大阪薫英女学院のキャプテン、幡出麗実選手は今日の準決勝をこう振り返ります。
「自分たちは京都精華学園さんに比べて高さもないですし、留学生がいるわけでもないので、ゲームの入りから自分たちのバスケットをしっかりやろうと、ウォーミングアップから自分たちの雰囲気を作れたところが良かったかなって思います」

ゲームの40分間だけでなく、その前からすでに近畿ブロックのライバルへの準備をしっかりと進めていたわけです。もちろん準備だけでなく、チームの一体感も勝敗に大きく影響しました。
「『最後は気持ち』って安藤 (香織) コーチもずっと練習のときからおっしゃっていて、今日の試合でも苦しい時間帯はあったんですけど、常に『次やろう、次やろう』とか、シュートを決められても『次決めよう、次決めよう』ってプラスな声かけが飛び交っていたので、それがよかったかなと思います」
大阪薫英女学院もまた一丸となって京都精華学園に立ち向かい、それを乗り越えていったのです。
決勝戦の対戦相手である桜花学園とはインターハイの 3 回戦で対戦し、そのときは 69-74 で敗れています。幡出選手は言います。
「インターハイで負けてからは、ディフェンスとリバウンドで体を当てることを特に意識してやってきて、そういう泥臭いところが最後の 1 点、2 点の差につながってくると思います。誰でもできる当たり前のところを40分間どれだけやり続けられるかが、勝ち切るか、負けるかの差になってくると思うので、そこはしっかりやりきりたいと思います」

やることはやってきたという自負はあります。あとは自分たちのやってきたことを信じて、やりきるだけだと幡出選手は言います。しかしそれは桜花学園も同じ思いです。先に試合を終え、決勝戦の対戦相手が決まっていないなかで、濱田選手もこう言っています。
「最後は相手がどちらであれ、自分たちのバスケットを崩さずに、40分間徹底して、日本一を目指したいと思います」
2000年の第31回大会以来、25年ぶりとなる両校の頂上決戦。桜花一丸か、薫英一丸か――大会を進めるごとにひとつになってきたチーム同士の決勝戦は、間違いなく白熱したものになるはずです。