【現地レポート⑬】「自分に足りないものを見つめ直した」――土浦日本大学・夏目悠良
2025年12月25日
「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子 2 回戦。東海ブロック大会王者の藤枝明誠 (静岡①) に、土浦日本大学 (茨城) が挑みました。
今年の土浦日本大学は、春先からケガ人にも悩まされ、関東大会予選、インターハイ県予選ではつくば秀英に敗れて準優勝。インターハイ出場を逃す憂き目を見ました。ただ、3 月に負った膝のケガで長く離脱していたエースガードの #12 渡部駆流選手がウインターカップ県予選前に復帰し、加えて「夏の間に 1、2 年生も成長してくれた」と佐藤豊文コーチ。夏からチームを底上げし、見事つくば秀英にリベンジして今大会の出場権を手にしました。

この試合は序盤、土浦日本大学が渡部選手の 3 ポイントシュートなどで先手を打ちました。しかし第 2 クォーター以降、激しいディフェンスを仕掛けてきた藤枝明誠に追い上げられ、第 3 クォーターには逆転を許してしまいます。
ただその中でも、佐藤コーチは「試合前から『逃げるな』と伝えていたので、相手のプレスが来たときには『ほら来たぞ、ここだぞ』という感じでした」と、藤枝明誠の反撃は想定内だったと振り返ります。
追いかける形で入った第 4 クォーターは、「気持ちで負けていなかった」と佐藤コーチ。堅いディフェンスで失点を抑え、オフェンスでは渡部選手一人に頼り切るのではなく、#23 飯田渚颯選手や #11 青井遙臣選手ら、下級生も含めて一人ひとりが果敢に攻めました。結局、このクォーターは 28-11 と相手を圧倒。再逆転に成功した土浦日本大学が、86-73 で藤枝明誠を振り切り、大きな勝利を挙げました。

勝負どころとなった第 4 クォーターで、同点に追い付く 2 本の 3 ポイントシュートを決めてのけたのが、キャプテンでシューターの #4 夏目悠良選手です。第 3 クォーターまではシュートが当たらず、「無意識にボールから逃げてしまっていたと思います」と自身でも振り返ります。
しかし、「(佐藤) 豊文先生から『お前だぞ!』と言ってもらって、自分がやらなきゃな、と思い、最後は自信を持って打ちました」と夏目選手。期待に応えて大事なシュートを決めることができ、「第 3 クォーターまで全然入らなかったのですが、それでもチームのみんなが打たせてくれたので、感謝の気持ちが大きいです」と仲間への思いを述べていました。
また、夏目選手について特筆すべきは、体を張ったリバウンドです。以前から自分自身の課題を「泥臭いプレーが足りないと言われています」と明かしていましたが、この夏インターハイ出場を逃したのを機に、改めて自分自身の課題と向き合ってきたそうです。
「すごく悔しくて、自分に足りないものが何なのか見つめ直しました。やっぱりシュートは水ものなので、入らないときもある。そういうとき、どうチームに貢献するかと考えればリバウンドやディフェンス、ルーズボールしかありません。自分に足りないそれらの部分を、もっと頑張ろうと思いました」

この姿勢については、佐藤コーチも「前までシュートを打ちっぱなしで、自分では絶対にリバウンドにいかない選手でした。でも今日は、本当にリバウンドにいっていましたね」と確かな成長を評価しています。
得意の 3 ポイントシュートに加え、泥臭いリバウンドやディフェンスでもチームに貢献できるようになった夏目選手。なお、チームメートの渡部選手が復帰したことも、そうした姿勢を貫くうえで大きな力となっているようです。
「(渡部) 駆流はプレー的にも心強いのですが、何より自分的にはメンタル面ですごく救われていて…。自分がダメでも駆流が決めてくれる、と思えば、泥臭くリバウンドに入れるし、ディフェンスも頑張れると思います」
こうして仲間で一枚岩となって山場の 2 回戦を突破し、勢いに乗る土浦日本大学。現 3 年生は、2 年前の冬に全国 3 位に入った先輩たちの背中を見ています。さらなる高みを目指して、次の京都精華学園 (京都②) との 3 回戦に挑みます。
