SoftBank ウインターカップ2025 第78回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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REPORT 現地レポート

【現地レポート⑯】完敗からのリスタート~県立広島皆実~

2025年12月26日

 ゲームの入り方はけっして悪くありませんでした。それでも第 1 クォーターは 7 得点に終わり、第 2 クォーターはまさかの無得点。後半こそ、持ち前の得点力を披露する場面もありましたが、その後もビハインドは広がるばかり。完敗で「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」を終えることになりました。しかしそれは広島皆実 (広島) にとって、そして同校を率いる横田学コーチにとって、次の扉を開けるための大きなきっかけになるはずです。

 ウインターカップ2025の男子 3 回戦で、広島皆実はインターハイ準優勝の八王子学園八王子 (東京①) と対戦し、44-93 で敗れました。横田コーチはゲームをこう振り返ります。

「準備してきたことを八王子さんにすべてをアジャストされてしまいました。選手たちは守られている感覚の中で (追い上げるためにも) シュートを打ち続けなければならないし、ディフェンスでも高い位置から捕まえようとしましたが、シュートが入らないので、それも難しかった……(準備してきたことを)やり続けようと言いながらも、あれだけシュートが入らず、点差が開いているなかでやり続けることは本当に苦しかったんじゃないかと思います」

 選手たちは苦しい展開の中でも戦い続けなければなりません。それを拒む選手はいませんが、思いとは裏腹にチームは苦戦の沼から抜け出すことができないまま、ゲームを終えることになります。しかし、だからといって、彼らが何も得られなかったかといえば、そうではありません。

「チームとしては、ディフェンスの強度だったり、5 対 5 の状態から始まれば、全国のレベルでもある程度は守れる手ごたえはあります」

 横田コーチの言葉どおり、ディフェンスの強度については引けを取っていませんでした。機動力を生かしたチームディフェンスが成功した場面もあります。ただしそれを高い位置から仕掛けようと思えば、やはりシュートを決めきることが重要になってきます。八王子学園八王子戦に関して言えば、変速的なゾーンディフェンスにリズムを狂わされ、シュートが入らなくなると、強度の高いディフェンスも、その効力を削がれていきます。

「やはりどこのチームも強みを持っていて、我々の強みはアウトサイドからの攻撃だったり、トランジションだったりするわけですが、中国地方に八王子学園八王子のような変則的なゾーンディフェンスを敷いてくるチームはありません。全国でもなかなかいないと思います。事前の調整練習でもボールをもらう前の判断や、一瞬のチャンスを逃さずに攻めきるところ、そして粘り強く逆サイドにボールを展開することを繰り返して、ゾーンの一番後ろの子を揺さぶりたいなと思っていたのですが……なかなかこの大舞台で正しい判断、早い判断ができませんでした。そういった課題をまたもらったような気がします」

 目標にしていたのはベスト 8。つまりはウインターカップのメインコートに立つことでした。その目標には一歩届きませんでしたが、今大会で得たものを来年度以降につなげていきたいところです。

「広島だとパワーとスピードだけで寄りきれるところもありますが、全国ではパワーで寄りきることはできません。アウトサイドプレーのスピードと判断をいかに上げるか。そこのレベルアップが目標とするレベルで勝つためには必要だと痛感しました」

 藤井貴康・前コーチの後を継ぐべく 4 年前に母校に戻ってきた横田コーチ。そこから 2 年間は藤井コーチとともに采配を執っていましたが、独り立ちした昨年はウインターカップへの出場権を逃しています。今大会はチームとして 2 年ぶりの出場となりますが、横田コーチにしてみれば、独立後初めてのウインターカップです。完敗を次に生かすのは選手たちだけではありません。コーチもまた敗戦から学び、来年度以降のチーム作りに生かしていくのです。

 

 

 

 

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