【現地レポート⑭】夏と同じベスト8。それでも違った負け方――倉敷翠松
2025年12月26日
「全員で、楽しもう!」 「イエーイ!」
試合前、アップを終えた倉敷翠松 (岡山①) の選手たちが、円陣を組み、こんな声を響かせました。
大会 4 日目を迎えた「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子準々決勝。倉敷翠松は夏のインターハイと同じくベスト 8 へ駒を進め、強豪・大阪薫英女学院 (大阪①) との対戦に挑みました。

試合は倉敷翠松 #14 池田梨愛選手の連続得点でスタートし、緑色のハチマキを巻いた 2 階応援席の仲間たちから大きな歓声が上がります。しかし、その後は攻撃の中心である #4 高田麗選手が厳しくマークされ、思うように得点が重ねられません。ディフェンス面でも #5 三輪美良々選手を中心に攻めてくる大阪薫英女学院の勢いを抑え切れず、#15 オルショガブサヨ アヨミポシ選手がリバウンドで奮闘しながら得点を重ねましたが、第 1 クォーターで14点ビハインド。続く第 2 クォーターにはさらに差が広がり、前半を終えて 33-50 と、難しい展開となりました。
それでもハーフタイム、倉敷翠松の白石理賀コーチは選手たちに「しんどいときや苦しいときに、みんなで乗り越えていく。それを楽しもう」と声をかけました。その言葉どおり、後半も選手たちの士気は落ちることなく、一人ひとりが積極的なプレーを続けます。最終スコアは 65-92。目指していたメインコートには届かず悔しさもありましたが、やり切ったような表情を見せる選手も多く、白石コーチも「インターハイの準々決勝は、本当に “ 無力感 ” を感じる負け方だったのですが、今日の負けはそうではなかったと思います。最後までヘッドダウンせず、しっかり戦えたことは良かったです」と振り返りました。

今大会のこれまでの戦いを振り返ると、1 回戦の東京成徳大学 (東京③) には第 1 クォーターで10点差をつけられながらも逆転勝ち。2 回戦は、髙田選手の試合終了間際のシュートで東海大学付属諏訪 (長野) を相手に 1 点差での激闘を制しました。続く 3 回戦は名古屋経済大学高蔵 (愛知) とのロースコアの接戦をものにし、夏に続いてのベスト 8 入りとなりました。
キャプテンの髙田選手は、このように接戦をものにして躍進できた理由について、次のように話します。
「初戦から苦しい試合が多かったんですが、ベンチに入れない選手たちの全力の応援が、最初から最後までずっと響いていました。その仲間たちのためにも勝ちたいと思って、それが原動力になったと思います」
そんな髙田選手は、試合前の円陣で「全員で、楽しもう!」と声をかけた張本人でもあります。最終戦では厳しいマークに苦しみ 2 得点に終わりましたが、「苦しいことが多くても、ここまで来ることができて、本当に楽しかったです」と笑顔を見せていました。
結果こそ夏と同じベスト 8 でしたが、夏以上に最後まで諦めず、仲間とともに “ 楽しめた ” 冬。そんな今大会の記憶は、選手たちにとって、かけがえのない財産となることでしょう。
