SoftBank ウインターカップ2025 第78回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート⑦】最後の “2年生” エース~埼玉栄 倉林まのか~

2025年12月24日

 トーナメント形式の大会は勝ち進めば進むほど、おのずと相手チームはそれまでにない強さを発揮してきます。同時にそれは自分の足りないところを見出すきっかけにもなります。それを実感できたことは今後に向けた大きなステップです。

「SoftBank ウインターカップ2025 令和 7 年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子 2 回戦、埼玉栄 (埼玉) は福島東稜 (福島①) と対戦し、51-57 で敗れました。

 埼玉栄の 2 年生エース、倉林まのか選手は前日の慶誠 (熊本) 戦でチームトップの26得点をあげています。慶誠といえば、メンバーが変わったとはいえ、前回大会の準優勝チーム。U18日清食品トップリーグにも参戦している強豪チームに対してそれだけの結果を残せる倉林選手を、目由起宏コーチも「独特の感覚を持った選手です。(埼玉栄に) 入ってからどんどん伸びてきているし、将来は W リーグでプレーできる可能性がありますよ」と称賛します。

 実際に、ドリブルハンドリングはもちろんのこと、ステップバックからのシュートやユーロステップを使ったペイントアタック、またドライブからのキックアウトもあるため、相手チームとしては厄介な選手です。当然のようにトップクラスのディフェンダーをぶつけてきます。

 福島東稜戦の倉林選手は、持ち前の突破力が影をひそめます。原因は 1 対 1 のディフェンスだけではありません。11得点に終わった倉林選手は自身のプレーをこう振り返ります。
「自分のオフェンスのところで、いつもどおりに上手く攻められませんでした。ドライブに行こうとすると (福島東稜の) みんながカバーに寄ってきて、そのディフェンスにハマってしまいました」
 個としても、チームとしても、上には上がいることを実感したわけです。

 ただ、ウインターカップでは成長を感じるところもあったと認めます。1 年生のときから試合に出てきて、そのときは高校生の強いコンタクトにシュートを打つことさえままならず、先輩たちに頼りきりで、パスばかりを回していたそうです。それがこれまでの 2 年間でスキルを吸収し、フィジカル面でもトレーニングを重ねたことで、多少のコンタクトであればシュートを決めきれるようになってきました。
 課題と向き合い、それを克服、とまでは言わないまでも、成長を実感できるところまで変化してきているのです。

 それでもやはり「もっとできたと思う」と振り返る 2 回戦での敗退は悔しさが募ります。時折ユニフォームで涙をぬぐいながら、来年に向けた思いを口にします。

「今は得点もペイントエリア内か、ペリメーターばかりで、3 ポイントシュートが全然決めきれていません。これからはその確率を上げていきたいですし、今まで引っ張ってくれた 3 年生がいなくなってしまうので、来年は自分がチームを勝たせる存在になりたいです」

 頼るべき先輩たちはもういません。2 年生エースの “ 2 年生 ” が取れてチームを背負う責任を自らが持ったとき、倉林選手の可能性はこれまで以上に広がっていくはずです。

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